第21回ルーマニア国際音楽コンクール開催レポート

※本記事は、2025年11月発行の会報誌『Felicitări』に掲載した第21回ルーマニア国際音楽コンクールの開催報告を、ホームページ用に再編集したものです。写真とともに、当日の様子をご紹介します。
舞台での経験が、次の挑戦につながる
2025年8月26日から30日までの5日間、港区高輪区民ホールにて「第21回ルーマニア国際音楽コンクール」が開催されました。
ピアノ、声楽、弦楽器、管楽器、打楽器、アンサンブルなど、さまざまな部門の参加者が舞台に立ち、それぞれの音楽に向き合いました。
本番の舞台で演奏すること。
審査員の前で、自分の音楽を届けること。
他の参加者の演奏を聴き、表彰式までを経験すること。
コンクールには結果がつきものですが、その過程で得られる経験も、参加者にとって大切な時間になります。
舞台で演奏するからこそ見えるもの
ルーマニア国際音楽コンクールでは、実際の舞台で演奏する経験を大切にしています。
ホールに響く音、客席の空気、審査員の前で演奏する緊張感。
普段の練習とは違う環境で演奏するからこそ、自分の音楽について気づくことがあります。
第21回の会場でも、演奏前の真剣な表情、演奏を終えた後の安堵、表彰式での笑顔など、コンクールならではの場面がありました。
結果だけではなく、本番に向けて準備し、舞台に立ち、他の演奏にも触れること。
その一つひとつが、次の演奏につながっていきます。
第21回グランプリはピアノ部門の朴沙彩さん

第21回のグランプリには、ピアノ部門第1位の朴沙彩さんが選ばれました。
ピアノ部門からのグランプリ受賞は、第2回の榎本玲奈さん、第8回のロー磨秀さん以来となります。
ジョルジェ・エネスクを輩出したルーマニアの国名を冠する本コンクールでは、これまで弦楽器部門からグランプリが選ばれることも多くありました。その中で、久々にピアノ部門からグランプリが誕生したこともあり、会場では大きな拍手が送られました。
朴沙彩さんは受賞後、ルーマニアに行ける機会や現地での交流を楽しみにしていること、また今後はドイツへの留学を通じて、ヨーロッパの音楽や芸術、歴史にも触れていきたいと話しています。
コンクールでの受賞が、その後の学びや海外での経験につながっていくことも、このコンクールの大きな特徴の一つです。








前年グランプリ受賞者による特別演奏

第21回では、前年の第20回グランプリ受賞者である若生麻理奈さんによる特別演奏も行われました。
表彰式前に約30分間の演奏があり、審査員や関係者にとっても、若生さんの1年間の成長を感じられる時間となりました。
若生さんはその後、ルーマニア各地で演奏を披露する予定となっています。コンクールでの受賞が、次の演奏機会へとつながっている一例です。
過去の受賞者が再び舞台に立つ姿は、今回参加した方々にとっても、今後の活動を考えるきっかけになったのではないでしょうか。
ジュニアから国際音楽コンクールへ

「ルーマニア国際音楽コンクール」のジュニア版として開設された「ルーマニア国際ジュニア音楽コンクール」も、第9回を終えました。
近年は、ジュニアコンクールの入賞者がルーマニア国際音楽コンクールに挑戦する流れも生まれています。
昨年は、フルートの日野薫子さんが入賞されました。
そして第21回では、山本智貴さんがピアノ部門で第2位となりました。
ジュニアでの舞台経験が、次の大きな舞台につながっていく。
若い時期に本番を重ね、自分の演奏と向き合うことは、音楽を続けていく上で大きな経験になります。
今後も、ジュニアコンクールから本コンクールへ挑戦する参加者が増えていくことが期待されます。
受賞者の声
本選受賞者からは、コンクールへの参加理由や受賞後の思い、今後の抱負が寄せられました。
参加のきっかけには、先生からの紹介、ルーマニアへの興味、海外の先生に演奏を聴いてもらいたいという思い、ルーマニアでの演奏機会への関心などがありました。
打楽器部門で日本ルーマニア音楽協会理事会賞を受賞した阿部こと菜さんは、海外の先生に演奏を聴いてもらう機会として本コンクールに参加したと話しています。受賞後には、この経験を活かして努力を続け、夢であるマリンバ奏者を目指したいという思いも語っています。
また、Apollonia賞を受賞した和久井映見さんは、ルーマニアでの演奏機会を得られる特別賞があることを知り、挑戦を決めたと話しています。受賞後には、国境を越えて音楽を通じたつながりを広げていきたいという抱負も寄せられました。
コンクールは順位を決める場であると同時に、自分の現在地を知る場でもあります。
受賞者の言葉からも、参加したからこそ得られた経験や、次に向かう気持ちが伝わってきます。



技術だけではなく、舞台でどう音楽を届けるか
ルーマニア国際音楽コンクールでは、演奏技術だけでなく、舞台でどのように音楽を届けるかも大切にしています
技術があることはもちろん重要です。
しかし、それだけで音楽の魅力がすべて伝わるわけではありません。
曲の雰囲気やイメージに合わせて、どのような姿で舞台に立つか。
聴く人にどのような印象を届けるか。
一つひとつの舞台を、自分の音楽表現の場としてどう作っていくか。
そうした視点も、演奏家として大切な要素です。
コンクールという場であっても、演奏者自身が自分の音楽をどう届けるかを考えること。
それは、将来リサイタルやコンサートの舞台に立つうえでも大切な経験になります。
表彰式までを一つのコンクールとして
ルーマニア国際音楽コンクールでは、演奏そのものだけでなく、表彰式までを含めて一つのコンクールと考えています。
演奏前は、緊張や準備のために他の参加者の演奏を聴く余裕がないかもしれません。
ただ、演奏後に他の参加者の演奏を聴くことで、なぜその人が選ばれたのか、自分とは何が違ったのかを感じ取ることができます。
本選の演奏を聴くことは、自分の表現を見つめ直すきっかけにもなります。
他の演奏家の姿勢や音楽に触れることも、コンクールに参加する意味の一つです。
また、表彰式も参加者にとって大切な時間です。
賞状やトロフィーを受け取る瞬間まで含めて、コンクールでの経験として心に残るものになります。












音楽を通じてルーマニア文化と出会う
ルーマニア国際音楽コンクールの特徴の一つは、演奏を通じてルーマニアの音楽文化と出会えることです。
ルーマニアは、ジョルジェ・エネスクをはじめ、豊かな音楽文化を育んできた国です。
日本ではルーマニア音楽に触れる機会はまだ多くありませんが、このコンクールは、その文化に出会う入口にもなっています。
受賞者の声の中にも、ルーマニアの文化や作曲家に興味を持ったこと、現地で演奏したいという思い、ルーマニアの街や音楽堂への関心などが語られていました。
演奏技術を磨くだけでなく、音楽の背景にある文化や人とのつながりに触れられること。
それも、このコンクールならではの魅力です。
第22回ルーマニア国際音楽コンクールへ

第22回ルーマニア国際音楽コンクールは、2026年8月25日から29日まで、港区高輪区民ホールで開催予定です。
参加部門は、ピアノ、声楽、弦楽器、管楽器、打楽器、アンサンブル。
応募締切は、2026年7月31日(金)必着です。
舞台で演奏する経験を得たい方。
自分の音楽をより深く見つめたい方。
ルーマニア音楽文化との接点を持ちたい方。
第21回の参加者がそうであったように、一回の本番が、次の挑戦につながることがあります。
詳細な募集要項・応募方法は、募集要項ページをご確認ください。
第22回ルーマニア国際音楽コンクール募集要項ページ
