インタビュー

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坂本治希 Haruki Sakamoto

2025年2月

第2回ルーマニア国際音楽コンクールピアノ部門第3位、審査員特別賞、ルーマニア大使館賞(高校在学時)受賞の坂本治希さんにインタビュー致しました。

嶋田(以下S):お久しぶりです。2022年に開催した「日本・ルーマニア 文化交流コンサート -岡山公演-」に出演して頂いてからは毎年のようにお会いでき嬉しく思っています。

坂本(以下H):はい。広島(岡山出身)に住んでいるのでなかなかお会い出来ないのですが、この頃は仕事で東京に来ることがあり、その時に事務所にお伺い出来ればと思っています。

S:今日は是非、いろいろなお話を聞かせてください。

「ルーマニア国際音楽コンクール」を受けたキッカケ

S:まず最初はやはり「ルーマニア国際音楽コンクール」を受けたキッカケをお聞きしたいです。

H:福山の小さな楽器店でチラシを見つけました。まだ高校生で、国際と名のつくコンクールは一回受けた位の時だったので、大変魅力的に見えました。また、今考えれば地域主義的な思いが昔からあったようで、ルーマニアという東欧のエッセンスがふんだんに使われている曲に魅力を感じたのかもしれません。

S:ルーマニアやジョルジェ・エネスクのことはご存知だったのですか?

H:いいえ、知りませんでしたが、ルーマニアという名のつくコンクールを受けるならば、ルーマニアの曲を弾きたいと思い受けることにしました。

S:坂本さんが受けられた時は、課題曲があったのですよね。ただ、あの頃の日本は今よりももっとルーマニアやルーマニア人作曲家の作品に馴染みがなかったので、参加者から質問や音源が欲しいなど、対応が大変でした。課題曲があるために参加者が減っては、元も子もないので、課題曲はやめて、入賞後に作品を紹介して演奏してもらう。と逆発想させて頂きました。その結果、コンクール20年の積み重ねで、坂本さんを始め、多くの方がルーマニア人作曲家の作品を演奏をしてくれるようになりました。

演奏旅行

S:受賞されてルーマニア演奏旅行に参加されたのですね。

H:はい、そうです。初めての海外旅行だったので、鮮明に覚えています。

S:私も坂本さんのことは強烈な印象で残っています。

H:演奏会場は、エネスクミュージアム(ブカレスト)、文化宮殿(ヤシ)ともう一つはブラショフだったと思います。全ての会場の聴衆が温かかったのをよく覚えています。

S:その時から温かな聴衆だったのですね。今も本当に温かいです。

H:ホテルは、ミネルバホテルで、食べ物はサルマーレとサワークリームを覚えています。

S:今ならもっと美味しいものもご紹介出来るのですが、まだ私も行き始めたばかりでご案内出来るまではいかなかったのす。しかし、それはそれなりに楽しい思い出でいっぱいです。

H:レストランやミュージアムなど、どこにいてもルーマニア狂詩曲(エネスク作曲)が聞こえてきました。

S:私が印象に残っているのはその耳の良さでした。一緒に街を歩いているとルーマニア人同士の会話が聞こえてくるようで「今『〇〇、、、』と言っていますが、どういう意味ですか?」と何度も聞かれ驚かされました。

音楽への道

H:僕はルーマニア演奏旅行に行って音楽の道に進もうと決めました。

S:演奏旅行がキッカケなのですか?

H:はい。それまではまだ音楽の道に進むかどうか決めていなかったのです。

S:その後、エリザベト音楽大学へ特待生として入学されたのですね。

H: なるべく地元の近くで演奏活動を続けたかったので、広島の大学を選びました。

S:コンクールを受けられた時に既に他の人とは違うものを持っていらしたので、大学は東京に来られるものと思っていました。が今、エリザベト音楽大学を選択した意味がわかりました。

今後に向けて

S:今後はどのように考えていらっしゃいますか?

H:例えば、エネスクのような1人の作曲家を研究したいと思っています。民族的な魅力を広めたいとも思っています。エネスクの曲は演奏していて自分の感性に合っています。

S:嬉しいお話しですね。3月1日に開催される「20周年記念クロージングコンサート」では、そのエネスク作曲“ルーマニア狂詩曲第1番”を弾いてくださいますね。

H:ルーマニアの第2の国歌とも言われている“ルーマニア狂詩曲第1番”は、演奏したいと思った曲です。前半は難解ですし、後半はメカニックでとても難しい曲です。この曲には、8つくらいのルーマニア民謡ともとれるメロディーが含まれています。

S:「20周年記念クロージングコンサート」では、トップバッターでその“ルーマニア狂詩曲第1番”を演奏して頂きます。会場にお越しの皆さまを第1曲目でルーマニアに誘って欲しいと思っています。

H:せっかくのご縁でルーマニア、エネスクを知ったのですから、これからも弾き続け、研究を続けていきたいと思います。

S:ありがとうございました。3月1日の演奏を楽しみにしております。

また、今後の活躍を期待しております。

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